年間の引越しの35パーセントが2月~4月に集中
2020年に全日本トラック協会よる大手引越事業者6社に対する「月別の引越し件数」のアンケート調査によると、年間約202万件の引越しのうち、実にその35パーセントにあたる71万件が2月~4月の3ヶ月に集中しているという結果が出ました。
その中でも、3月は通常の月が15万件程度のところ、倍以上の34万件の引越しが集中するということです。
通常、引越しの1カ月ほど前に、引越し先を決めるということを考えると、引越しの繁忙期の1ヶ月前の1月~3月までが、賃貸住宅の入居者を決める上で特に重要な月であり、不動産業界の繁忙期だということが分かります。
繁忙期に向けて何をすべきか
では、繁忙期を迎えるにあたり、賃貸住宅オーナーは、どのような準備をしていかなければならないのでしょうか。
繁忙期を逃してしまうと、次の繁忙期まで長い空室を作ってしまう可能性があります。
そうならないために、どのようにしていかなければならないか考えていきます。
同じエリア内の物件の状況を把握する
まず、賃貸住宅オーナーが繁忙期を前にしなければならいないことは、自分が持っている賃貸住宅の周辺に、同じタイプの物件がどの程度あるのか、また、その物件はどのような設備を備えているのかを、調査することです。
繁忙期の前に、現実の数字をしっかりと摑み、その上で、適切な入居促進につながる対策を打っていく必要があります。
周辺の物件数を把握する方法として、誰でも簡単にできる方法をご紹介します。
その方法は、誰でも利用できるSUUMOやHOME‘Sなどの不動産ポータルサイトを利用して調べる方法です。
例えば、東京都練馬区の上石神井駅徒歩12分に1Kの物件を持っていたとします。
ライバルになり得る物件が今どのくらい市場で募集されているかについては、不動産ポータルサイトから、「最寄り駅」→「駅徒歩」→「間取り」の順で数を絞っていくことで分かります。
「上石神井駅」→「徒歩15分以内」→「1K」と絞り込んだ結果、2,976件(SUUMOにて2023年11月22日に筆者が調査)という結果がでてきました。
実に、3,000件近い募集中のライバル物件がエリアにあることが分かります。
エリア内の設備の導入状況を把握する
次に、エリア内の設備の導入状況を調べます。
特に、入居者に人気のある設備が導入されている物件がどの程度のあるのか把握することで、次の空室対策のヒントになります。
今、入居者にどのような設備の人気が高いのかについては、毎年、全国賃貸住宅新聞社が行っている「人気設備ランキング」が参考になります。
このランキングは、実際に入居募集をしている不動産会社へのアンケートをもとにランキングを出しているので、入居者の生の声を反映しているものだと言えます。
単身向けでは、常に「インターネット無料」「オートロック」「宅配ボックス」「浴室換気乾燥機」があれば、相場より家賃が高くても決まりやすいという設備とされており、「TVインターホン」や「洗浄機能付き便座」は、直近の調査では、すでに当たり前の設備になっているという調査結果になっています。
では、先ほどのエリアにおいて、募集中の物件がどの程度「入居者に人気の設備」を導入しているか、不動産ポータルサイトの「こだわり検索」機能を使って調べることができます。
下の表が調査結果ですが、この結果でもわかるように、単品の設備を導入するよりは、人気の設備を複数導入することで、最終的に該当物件に残りやすくなることが分かります。
エリアによって、人気設備の導入状況に違いがあるので、ご自身の物件もエリアで同様に調査を行い、どの設備を導入すれば、最終的な内見の候補に残るのか検討が必要です。
内見数に対する成約率を把握する
繁忙期に向けて、さらにオーナーに知っておいていただきたいことは、入居者希望者が入居を決めるまでに、どのくらいの物件を見て回り、決定にいたっているかという内見に対する成約率です。
内見に対しての成約率を知るには、株式会社リクルートの「SUUMOリサーチセンター」が2023年9月に発表した「2022年度賃貸契約者動向調査(首都圏)」が参考になります。
最新のデータでは、賃貸物件を検討する入居希望者が見学した物件数の平均は、下の表の通り2.7件となっています。
ということは、入居希望者が1件の物件を決めるのに、2.7件の内見をするということが分かります。
成約率は、1÷2.7=0.3703、すなわち、内見数に対し、37%の確率で成約に至るということで、この数字が平均です。
例えば、空室が3部屋あり満室にしようとするには、3÷37%=8.11となり、8~9件の内見が必要になるということが言えます。
実際に、みなさんの物件の成約率はいかがでしょうか。
仮に、10件の内見があったとして、成約件数が1件しかなかったとすれば、成約率は1÷10=10%となり、平均よりも成約率が悪いことが分かります。
逆に、5件の内見で成約件数が2件あったとすれば、2÷5件=40%となり、平均の成約率よりも優れているといえます。
ご自身の物件の成約率を知ることで、繁忙期に向けた空室の対策が立てやすくなります。
「敗因分析」をしっかりと行う
内見に対する成約率が平均で37%だということは、他の63%の物件が成約に至らないということが言えます。
成約に至らなかった物件には、入居希望者の「見学したけどガッカリした」という「何らかの理由」が存在するはずです。
せっかく内見にこぎつけたとしても、成約にいたらないということは、とても残念なことです。
次の内見に活かすためにも、他の物件に負けてしまった敗因が何だったのかを分析することが非常に重要です。
では、どのようにして、「敗因分析」をすればいいのでしょうか。
一番正確に「敗因分析」できる方法は、実際に物件を案内してくれた不動産会社に「どんな物件が決まったのか?」「うちの物件が決まらなかった理由は?」と率直に聞くことです。
物件を他で決めた理由が、「ほかの物件の家賃が1,000円安かったから」という賃料の問題なのか、「ほかの物件に温水洗浄便座がついていたから」などの設備の問題なのか、「ほかの物件が駅から近かったから」などの立地の問題なのか。
ご自身が物件について、入居希望者を「ガッカリさせてしまった」理由を、オーナー自ら正確に理解することで効果的な空室対策を講じることができます。
最後に
繁忙期を迎えるにあたって、オーナーがやっておくべきことを色々と述べましたが、もう一つ大切なことを付け加えておきます。
それは、ご自身の物件の入居を決めていただく不動産仲介会社との関係を良好にしておくことです。
入居希望者は、最終的には、不動産仲介会社の担当者の一押で物件を決めることが多いです。
不動産仲介会社の担当者と関係を良好にしておくことで、入居者が求める物件としての質を上げることができ、また、物件の成約率高めることもできるといえます。
繁忙期に向けて、不動産仲介会社との関係を良好にしていくことはとても大切なことです。
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