
空き家投資|新たな手法の可能性と注意点は?
敬遠されていた空家が投資対象として脚光を浴びる

空き家はこれまで、活用しにくい一方で、管理コストや固定資産税などがかかる「負動産」として、敬遠されがちな存在でした。
しかし近年、その位置づけが変わりつつあります。
空き家の増加や自治体による対策の強化、新たな制度を背景に、投資対象として注目度が高まっています。
本コラムでは、空き家投資が注目される背景や物件選びのポイントなどを解説します。
なお、「空き家投資」と「築古物件投資」は混同されがちですが、両者は異なります。
空き家投資は、使われていない住宅を比較的安く取得し、リフォームによって価値を生み出す投資手法です。
築年数の浅い住宅が空き家になっているケースもあるため、必ずしも「空き家=築古物件」ではありません。
一方、築古物件投資は、築古のアパートやマンションなどを購入し、家賃収入を得る投資手法です。
すでに入居者がいる物件であれば、購入直後から収益を得られる場合もあります。
端的にいえば、空き家投資は「使われていない状態」、築古物件投資は「建物の古さ」に着目した投資です。
築古の空き家を購入して賃貸する場合は、両方に該当します。
今回は、このうち空き家投資に焦点を当てます。
空き家投資を後押しする3つの追い風

今、空き家投資には、3つの追い風があります。
1つ目は、空き家そのものの増加です。
賃貸用や売却用の空き家を除く、長期間使われていない空き家は、2008年から2023年までに約1.4倍に増えました。
長期間使われていない空き家は2023年時点で385万戸あり、2030年には470万戸に達すると予測されています。
2つ目は、今、各自治体で広がりつつある「空き家課税」導入の動きです。
京都府京都市や大阪府寝屋川市などでは、2030年前後の導入に向けた動きが進んでいます。
空き家問題を抱えるほかの自治体が追随する可能性もあります。
課税によって所有者の負担が増えれば、「売却した方がよい」という判断が広がるでしょう。
これまで市場に出なかった空き家の売却が進めば、投資家にとって物件の選択肢が増え、価格交渉もしやすくなる可能性があります。
3つ目は、新制度である「居住サポート住宅」です。
これは、高齢者や障がい者、低所得者など、住まいの確保に配慮が必要な人へ住宅を提供し、見守りなどの支援につなげる制度です。
投資家にとっては、新たな入居需要を取り込めるほか、家賃債務保証を利用できる点もメリットです。
実際に居住サポート住宅を利用して、20%を超える利回りを確保している事例も見られます。
現在はアパートでの活用が中心ですが、要件を満たせば戸建ての空き家も対象になります。
成功事例が増えれば、新たな空き家活用策として広がる可能性があります。
空き家を購入する不動産投資家が急増

空き家に注目する不動産投資家はすでに増え始めています。
空き家活用のアルバリンク(東証グロース)によると、同社の物件情報配信プラットフォームに登録する投資家は、2023年の2,416人から2026年には7,401人へと約3倍に増加しました。
多額の広告費をかけずに増えていることからも、関心の高まりがうかがえます。
同じ投資家が2件目以降を購入した割合を示す「リピート購入率」も、2023年の15%から2026年には38.8%へ上昇しています。
これは、空き家投資に手応えを感じ、追加購入に踏み切る投資家が増えているからだと考えられます。
このように、収益性の高さも、空き家投資が注目される理由の一つです。
同社の購入者アンケートでは、利回り20%以上の物件が全体の約7割を占めました。
空き家は取得価格を抑えやすい傾向のため、改修費をかけても高い利回りを確保しやすいといえるでしょう。
空き家投資で成功するためのポイントとリスク

ただし、空き家であれば、どの物件でも投資に向いているわけではありません。
まずは周辺の家賃相場や賃貸需要を調べ、入居者を確保できるかや、十分な利益を得られるかを見極める必要があります。
そのうえで、次の点を確認しましょう。
【建物の状態】
シロアリの被害や雨漏り、基礎のひび割れなど、外見では分かりにくい劣化がないかを調査しましょう。
【追加投資の範囲】
リフォームや修繕にかける費用を、想定家賃や利回りとのバランスを踏まえて判断します。
【火災保険・地震保険への加入可否】
築年数や構造、建物の状態によっては、保険に加入しにくい場合があります。
購入前に確認しましょう。
空き家投資には、次のような資金面や法的なリスクもあるため、注意しましょう。
【融資を受けにくい】
築古物件や再建築不可物件は担保評価が低く、金融機関から融資を受けにくい傾向があります。
そのため、現金購入が前提となるケースも多いです。
【特定空家等に指定される可能性がある】
倒壊のおそれや衛生上の問題があると、自治体から特定空家や管理不全空家等に指定される可能性があります。
勧告を受けると、固定資産税の特例が適用されなくなり、税額が増える場合もあります。
【出口戦略を描きにくい】
いざ、空き家を売却しようとしても買い手が見つからない可能性があります。
利回りだけでなく、売却まで見据えた物件選びが重要です。
【再建築不可や境界トラブルがある】
接道義務を満たしていない場合や、隣地との境界が未確定である場合では、建て替えや売却の妨げになる場合があります。
また、空き家投資では、想定外の修繕費にしっかり備えなければなりません。
十分な余裕資金を確保して取り組むのが基本です。
空き家投資の物件を探す主な方法

空き家を探す方法には、次のようなものがあります。
【地域密着型の不動産会社】
地元の家賃相場や空き家事情に詳しく、一般には公開されていない物件情報を持っている場合があります。
【訳あり不動産のプラットフォーム】
アルバリンクの「不動産投資の森」など通常の市場では流通しにくい空き家を扱うサービスです。
【空き家バンク】
自治体が運営する物件登録制度です。
比較的安価な物件を見つけやすいです。
【競売・公売】
市場価格より安く取得できる可能性があります。
ただし、占有者や権利関係などのトラブルリスクを伴います。
空き家投資では、表面利回りだけで判断すると、経営の問題に直面しかねません。
これを回避するためには、建物の状態、賃貸需要、将来の売却可能性を精査し、インスペクターや不動産会社などと連携しながら進めるのが賢明です。
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